経理マンのためのIFRS情報局

IFRS導入プロジェクトに携わる公認会計士が、これまでの経験や新聞記事を基に情報発信

17. 2017年1月 IASBアップデート

2017年最初のIASBが開催され、アップデートも公表されていました。

今月の会議はあまり目ぼしい議論はないかな、という印象ですが簡単に紹介します。

 

1.IFRS13「公正価値測定」の適用後レビュー

適用後レビューは、基準の適用後数年をおいて行われます。その基準の適用がスムーズにいっているかを関係各位から意見を募集して、必要に応じて基準の改訂を行うプロセスです。今月のIASBではそれを行うためにプロセスの確認が主な内容で、特段の決定はなかったようです。

 

2.Symmetric Prepayment Option

負債性金融商品において、発行者と保有者の双方が償還オプションを有しているようなケースにおいて、SPPIテスト(契約上のキャッシュフローの特徴テスト)を満たすかどうかという論点です。IASBはこうした金融商品に対してどのようにSPPIテストを適用すべきかを明確にするように、IFRS第9号「金融商品」を改訂するようです。

まず日本においは本件に該当するような金融商品が話題になったことはないので今回の改訂の動きも影響は限定的と思われます。それよりも、個別の金融商品に対して基準を改訂することとなった方が個人的には驚きです。

 

3.会計方針と会計上の見積り

このプロジェクトは会計方針の変更と見積もりの変更の区別を明瞭にしようというものです。たしかに実務においてもどちらに該当するのか迷う局面があるので、個人的には有用なプロジェクトだと思っています。

すでに公開草案が公表されており、それに対して集められた意見を検討しているところです。今月のIASBでは比較的軽微な文言の修正を加えることを決定したようです。

 

4.保険契約

保険の基準が近々公表されますが、保険契約の基準についてもTRG(Transition Resource Group)が組織されるとのことです。過去には収益認識(IFRS15)と金融商品(IFRS9)においてもTRGが組成されました。

日本基準ではこういう組織は考えられませんし、過去にTRGが組成された基準を見てみると、いずれも喧々諤々議論したうえでなお、基準の公表後にさらに議論をしています。基準の開発過程で本来は議論しておくべきであり、本当に有意義な組織なのか個人的には少し疑問です。

また、ワークプランも更新され、今後6か月以内に基準が公表されることとなっていました。従前は今年の3月までに最終基準が公表されるはずだったので、また基準の公表が遅れることになりました。

 

5.概念フレームワーク

アップデートの記事としては一番長かったのですが、概念フレームワークが変更されても即座に実務に影響があるわけではないので、ここでは詳細は避けます。議論の内容は、測定と、他の基準で概念フレームワークを参照している箇所に関する修正でした。