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経理マンのためのIFRS情報局

IFRS導入プロジェクトに携わる公認会計士が、これまでの経験や新聞記事を基に情報発信

15. 2017年から適用される基準について(IAS12の改訂)

 前回の記事に書きましたが、2017年(3月決算であれば2018年3月期)から適用される基準ついて簡単に説明します。案外説明が長くなりそうなので、今日は1についてのみです。

  1. 未実現損失に関する繰延税金資産の認識
  2. IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」の改訂

1.未実現損失に関する繰延税金資産の認識

 誤解を恐れず、かつ日本基準になれた方にわかりやすく言うなら「その他有価証券の評価損によって将来減算一時差異が生じた場合の繰延税金資産の回収可能性をどう考えるか」という点が明確化されました。

 例えば、取得価額1,000の社債を保有しており、IFRS上では毎期公正価値で評価して評価差額をPL計上するものに分類していたとします。この社債が翌期に1,000で償還されるものの、当期末に当該社債の公正価値が900に下落した場合、当期末において100の将来減算一時差異が生じます。この100の解消についてどのように考えるか、という点の明確化です。

 翌期の税務申告上の課税所得が50だったとしましょう。IFRSにおける将来減算一時差異の解消の検討方法は、まず将来加算一時差異があり、その加算タイミングと将来減算一時差異の減算タイミングがあっていれば、無条件に将来減算一時差異を解消できる=繰延税金資産を計上、ということになります。次に将来加算一時差異で充当できない将来加算一時差異については、課税所得で充当できるかどうかを検討します。

 ここでいう「課税所得」について、将来減算一時差異の減算前の金額であることが明確化されました。つまり、この例では税務申告上の課税所得が50なので、将来減算一時差異による減算効果を無視すると、繰延税金資産の回収可能性を検討する上での課税所得は150になります。よって、この例では将来減算一時差異全額について繰延税金資産を計上することができるということになります。

 なお、将来加算一時差異についても同様です。将来加算一時差異は、課税所得と将来減算一時差異を比較する前に、将来減算一時差異の解消に充てられるかを検討されています。そのため、課税所得をもって将来減算一時差異を解消できるか否かを検討する上での「課税所得」においては、将来加算一時差異の効果も無視する(=税務申告上の課税所得からマイナスする)ことになります。

 

 本改訂は、上述の通り、負債性金融商品の公正価値測定によって生じる未実現損失に端を発する改訂ではあります。しかし、将来減算一時差異が解消できるかどうか、つまり繰延税金資産の回収可能性を検討する際における「課税所得(taxable profit)」が、実際の納税申告計算における「課税所得」とは異なるという点で示唆を与えてくれる改訂ではあるかと思われます。