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経理マンのためのIFRS情報局

IFRS導入プロジェクトに携わる公認会計士が、これまでの経験や新聞記事を基に情報発信

7. ネーミングライツ等

ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイが、千葉ロッテマリーンズの本拠地QVCマリンフィールドの命名権を取得したそうです。また、楽天バルセロナにスポンサー出資するなど、企業は常になんらかの方法で広告宣伝のための支出をしています。

 

広告宣伝に関する支出の取り扱いは、日本基準とIFRSで大きく異なります。

 

日本基準では、一時に費用処理するケースもあるでしょうが、いったん支出額を前払費用として資産計上した上で、一定期間にわたって費用に振り替える処理もしばしばです。

一方のIFRSでは、「広告宣伝及び販促活動に係る支出」は無形資産の要件は満たさず、即時費用処理される旨が定められています(IAS38.69)。

この典型例として挙げられるのが通販のカタログです。カタログについては、あくまで自社が広告宣伝目的で使うしか用途はないので、カタログを入手できるようになった時点(平たく言えば印刷会社が出荷できるようになった時点)で全額費用処理になります。棚卸資産等にはなりません。

他にもCMなどがありますがCM製作費も(どれだけの期間CMが流れるかにかかわらず)CM完成時に全額費用処理です。

 

では、一般的に期間の定めがあるネーミングライツの取得やスポンサー支出も一括費用処理なのでしょうか。

 

私見ですが広告宣伝目的だからといって、すべての支出が一時点で費用処理とは思えません。また、IAS38は「広告宣伝目的の支出は無形資産の要件を満たさない」と断じていますがそうとも限らないと思われます。

なぜならば、そうした支出であっても、切り売りができて(識別可能で)購入する側にとっても価値があるのであれば無形資産の定義は満たしうるためです。

特にネーミングライツは(契約にもよるかもしれませんが)譲渡も可能で資産価値があるでしょう。仮に「ゾゾタウン」の名称を付けたまま使わなければならない譲渡があるならば、(そもそも買う会社がないかもしれませんが)完全に広告宣伝目的であり資産価値も疑わしくなります。しかし、買い受けた会社がその時点で自分の好きな名前を付けられるのであればネーミングライツ自体の資産価値はあると考えられます。

つまり、無形資産計上も認められると思います。

スポンサー支出も同様で、楽天以外にもバルセロナとスポンサー契約したい会社は多々あるでしょうし、バルセロナの選手が会社のロゴを付けて試合をするという、ある意味明確なサービスを受けているので、その期間に応じて費用処理というのも妥当と思われます。

前掲したCMについても、放映枠に関する支出は、広告宣伝目的の支出ですが、こちらも譲渡価値はあるでしょうから一定期間にわたって費用計上という処理も認められると私は思っています。

 

IFRSになると何かと一時点で費用処理が求められる広告宣伝支出ですが、一時点で費用処理を求めている背景に立ち返って個別に考えてみると、資産性のある広告宣伝支出というものも有りうるように思えます。